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甲斐 健師; 横谷 明徳; 鵜飼 正敏*; 渡辺 立子
Radiation Physics and Chemistry, 108, p.13 - 17, 2015/03
被引用回数:25 パーセンタイル:89.78(Chemistry, Physical)放射線によるDNA損傷において、電子衝突電離により発生した2次電子は難修復性DNA損傷の生成に深く関与すると考えられているが、2次電子の放射線作用は未だ十分には解明されていない。その原因の一つとして、電子の熱化過程で主に寄与する液体水の回転・フォノン励起過程の断面積の不備が挙げられる。本研究において、それらの断面積、阻止能及びエネルギー損失率の理論計算を行った結果、液相の回転励起断面積は気相の断面積に比べ3桁以上減少し、フォノン励起断面積は固相の断面積に近い値を示すことが分かった。今日まで1eV以下のエネルギー損失率は電子のエネルギーに強く依存しないと仮定し、電子の熱化過程は評価されてきた。しかしながら、本計算結果から、エネルギー損失率は1eV以下のエネルギーに対して強く依存することが分かった。その結果、電子の熱化時間は従来予測よりも長くなり、後続の水和過程及び化学過程に強く関与する可能性が予測された。本研究成果である回転・フォノン励起断面積は、熱化過程を研究する上で不可欠なデータであり、DNA損傷に対する2次電子の役割を解明するための研究に利用されることが期待される。